2017年 06月 20日
住田のお茶! |
住田の蔵で開いていただいた気仙茶のお茶会以来、大船渡のお茶摘みや、りくカフェでの気仙茶館に参加くださっていたMさんが、なんと今年、住田町内に残るお茶の木を訪ね、探し出して、新芽を摘ませてもらって手づくりでお茶を作った、というのです。
早速淹れてみることに。
淹れる前から茶葉の香ばしく甘い香りがします。飲むと・・・甘みがぶわーっと広がる、力強いお茶です!!
気仙地域で手もみ茶づくりが盛んに行われていた昭和30年頃までの時代、住田でもあちこちでお茶を手づくりしていたようです。その後、陸前高田と大船渡ではお茶づくりが製茶工場に移行する中、住田のお茶は作られなくなり、Mさんも住田にお茶の木があることさえ、ついこの間まで知らなかったのでした。
何十年かぶりに摘まれて作られたお茶の美味しさは、かつてこの木の周りでお茶を摘んで作った人々のことを想像させます。また、お茶の木に心があるなら、久しぶりに摘みに来たMさんを、きっと歓迎していたのでは、と(勝手に)思うような味わいです。
ああ、気仙のお茶のこと、お話ししてきてよかったなあ、と思いました。
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りくカフェでも、地元のスタッフの方に「気仙茶、って、名前は聞いてるし、飲んだこともあっても、あんまり関心なかったんですけど、お話を聞いて、初めてよくわかって、興味が出てきました!」っておっしゃっていただき、ものすごく嬉しかったです。そして、そのスタッフさんたちが、健康講座の参加者の皆さんなど周りの方々に声掛けして、今度はその方々が、「家のお茶、長年摘んでなかったけど、今度摘むために草刈りして手入れを始めたの」とおっしゃったり、「実はうちにもお茶の木あるんですよ~。今は藪になってるけど」「じゃあ、藪払いからみんなでやろうか!」なんて話が出たりしています。
他にも、数年前に伺った紅茶づくり会をきっかけに、手づくり茶にはまっている方もいます。震災前から、荒れたお茶の木に心を傷め、手づくり紅茶が人々の関心をお茶の木に向ける方法だと考えた高田のOさんのお考えの先見性に、改めて敬服するところです。
震災後、気仙茶とは何か、それを知り、地域で理解する、という課題をいただき、取り組んできました。その中で、本当にたくさんの方から、昔の、家での自家用茶づくりのお話をお聞きしました。
そこに共通していたのは、
「ご先祖様が植えたお茶の木を大切にすること」
「お茶が好きで一生懸命作っていた家族(親御さんやおじいさんおばあさんなど)あるいは近所の人々の思いに打たれ、それを引き継いでいること(お茶を作ることは、今はもういない人々を思うことでもある)」
「自分が作っているお茶を美味しいと思うこと」
「お茶を作る事や、淹れて飲む事は、人を思う気持ちをそこに託すものであること」
「お茶の木があるのだから、『買って飲むもんでにゃあ、作るもんだ』、自分で作れるものは、あるものを無駄にせずに作るのだ、という気持ち」・・・。
気仙茶とは何か、を知ろうとした試みは、結局、気仙人とは何か、その一つの側面を表すことになったのではないのか、と感じています。これは、高田の気位、と言うか、気仙の矜持、と言うか、魂のようなもの。Kesen damashii・・・
聞き取った、家のお茶のまつわるお話を、ただただ受け売りで、お話ししてきました。雫石から通ってくる者が、気仙茶の話や魂の話を気仙の方々に向かってするのは、本当に僭越なことだと思うのですが、何かとても大事なことをお聞きしてしまった気がして、お伝えしないではいられませんでした。私の話を、受け止めてくださる気仙の方々の存在に、心から感謝したいです。この後も、気仙のお茶文化を気仙で育て続けてくださることを、心から願います。私もまた、気仙で学んだお茶のことを、育て続けていきたいと思います。
by xiaoxiangtea
| 2017-06-20 12:06