2012年 07月 18日
気仙茶復興の第一歩week③ 剪定講習会が開かれました! |
会場は、製茶工場。約30人の参加者がいらっしゃいました。こうして、製茶ができない今年も、「みんなの」製茶工場に地域の人々が集まってくるというのは、意味深いことだなあ、と思いながらいました。
JAの方から、茶樹の除染のための剪定方法について、国の指導に基づいて説明がありました。続いて、大船渡農業普及センターの方からも、補足や、会場からの質問に対する答えなどありました。
そして、工場の裏にあるお茶の木をモデル?に、剪定の実技講習。葉にセシウムが多く存在することから、葉を落とす深刈りの指導に基づき、実技担当の私が持参の剪定バサミでヂョキ、ヂョキ、またヂョキ。
・・・すると、私のあまりの手つきの悪さに、参加者の方が「どれどれ」と登場!ヂョキヂョキヂョキ、と慣れた手つきで見る見るうちにきれいに丸く刈り落としてくださいました!!
会場は一気に和やかに(笑)。そして、「思ったよりずっと深く刈らねばなんねえんだなあ」「来年はあんまり芽がでないかもしれないけど、深く刈って、お茶の木を若返らせるっぺし」「んだんだ」「(剪定せずに)自分のところが(数値が)高かったら、皆さんに申し訳ないからな」と口ぐちにおっしゃって、終了となりました。
ここに集まった方々は、70代を超える方も多く、みなさん自家用でお茶を摘んできた方々でした。お茶の木とともに、自家製のお茶とともに、何十年も暮らしてきた方です。やっぱり自家製のお茶が飲みたい、という一心で、剪定の講習にわざわざ足を運ばれた方です。来年こそは、お茶ができますように、工場が動かせますように、という思いが、一層強くなりました。
JAにお聞きしたところでは、こんな風な、気仙茶の生産者の集まり、は、初めてだったそうです。放射能による危機に見舞われている気仙茶ですが、だからこそ、皆で力を合わせて、気仙茶を作り続けようという気持ちを、確認する機会ができたとも言えるのかもしれませんね。
気仙茶を巡って、人の思いがつながってきています。あるいは、気仙茶が、人と人を、つなげてくれているのかもしれません。
この、剪定講習会に、京都から足を運んでくださった方がいました。
龍谷大学の伊達浩憲先生です。
伊達先生は、震災後、昨年5月から、十数回にわたって、一人で、あるいはゼミの学生たちと一緒に、気仙に足を運んでくださっています。(伊達先生のブログの「気仙茶」カテゴリには、気仙訪問の記録のほか、気仙茶に関する資料が、たくさん掲載されています)
今回は、高田のお茶の仲間に、手づくり紅茶のセットを持参してくださり、その受け渡しも兼ねて、伊達先生を囲む食事会を米崎のおしゃれなカフェレストラン「クローバー」で開きました。
思えば、震災後、誰よりも早く、気仙茶の大切さを説いてくださって、地域を挙げての取り組みの重要性もお話しくださっていたのは伊達先生でした。そして、Kさんの畑の管理にゼミを挙げて取り組んでくださっただけでなく、その都度都度の私たちの課題に対して、いつでも全力で後方支援をしてくださっています。伊達先生の叱咤激励がなければ、今の「気仙茶の会」はきっとないと思います。やっとやっと、動き出すことができました。伊達先生には、感謝の言葉がありません。
その後、この日の宿舎、福伏の民宿むさしへ。
むさしさんは、気仙茶摘みの時、よく泊まっていた懐かしい宿です。
数年ぶり、震災後初めて、お世話になりました。
奥様が、私のことも、主人のことも、一緒に泊まった酒造りの友達のことも、覚えていてくださって、とてもありがたかったです。そして、震災の時のこと、それから今までの大変だったこと、お話しいただきました。
翌朝は、以前、泊まるたびに散策した福伏の港まで下りて行きました。
途中、大きな古い立派な家が立ち並ぶ、狭くて急な坂道があって、いつもその屋根、軒、蔵の戸の金具や細工や漁具の、お気に入りを見つけては、「すげ~」「かっこいい~」と言いながら下っていったのですが、その日は、坂道の途中から、建物がなくなり、視界が海まですっかり開けて、道も急に広くなった感じでした。
海沿いに、白いテントが立っていました。
伊達ゼミが昨年秋に訪れ作業をお手伝いしたという、エゾイシカゲガイの養殖作業の小屋だそうです。作業中の方と伊達先生が再会。養殖用の砂を入れたタライに「稚貝は、入りましたか」という伊達先生の質問から、思いがけず、船で養殖場を見せてもらうことになりました。
小さな小さな稚貝が、確かにいくつも入っていました。この時まで私は知りませんでした、稚貝は「入れる」のではなく、「入る」のを待つのですね。海の広さ、豊かさ、大いなる海に任せて生きる漁業という暮らし方の壮大さに、少しだけ触れた気がしました。
2014年、エゾイシカゲガイの出荷が再開されるそうです!
翌日は、伊達先生もすっかりなじみになった、陸前高田のジョニーでゆっくりして、盛岡への帰途に着きました。
こうして、記念すべき「気仙茶復興第一歩week」が終わりました。
皆様のおかげで、一歩、踏み出しました。これから、二歩、三歩、と、重ねて参りましょうね。
by xiaoxiangtea
| 2012-07-18 16:12