2011年 11月 21日
時間の深さ~necco のお茶会、終わりました!~ |
そんな日に、neccoさんでのお茶の会がありました。
neccoさんの店内は、黒光りする柱や梁と白い壁が印象的な、築150年の少し傾いた建物の一角にある空間。いろいろな場所、いろいろな人の手仕事や、大切に作られた品々を、ギャラリーのように美しい展示で紹介なさっているお店です。
お茶の会は、お店の奥の細い階段を上って、折り返した奥の間を、使わせていただきました。
窓を細く開けても、ぽかぽか暖かいくらいの午前中。5名のお客様をお迎えしました。
それはそれは、不思議な1時間でした。
3組の方が同席され、初対面の緊張もつかの間、自然に穏やかに、一体のお茶空間ができてきました。お茶から、話がゆらゆらあちこちに流れ、浮かび、またお茶に戻り・・。5人のお客様と私が織っていたお茶時間は、ネパールの農村にホームステイしていた女性のエピソードにつながっていきました。
彼女の泊めていただいたおうちでは、日の出とともにかまどに薪をくべて火を熾し、湯を沸かし、家族みんなで、家の外で朝日を浴びながら、お茶を飲むのだそうです。
その姿を思い浮かべると、なんだか涙が出るほど美しく感じられました。それからも、6人で、明け方、だんだん変わっていく空の色を思い浮かべたり、そのうちに私は星野道夫さんのエッセイの中の「もう一つの時間」の話を思い出したり。
お茶が添い、お茶に添いながら、同席の皆様と美しいものを思い浮かべたり、もう一つの時間の流れに思いをはせた一時間は、心地よく、一瞬にして永遠のような、もはや長さという概念が飛んで、深さで表したい一時間でした。それが、このお客様とこの日でなければ生まれない時間だったこと。そして何より、neccoさんのこの空間、このしつらえでなければ生まれない時間だったことに、やっぱり奇蹟のような時間だったと、改めて驚きと感謝と、幸せを感じています。
neccoさんの空間の力は、夕方のお茶の会でも感じました。
いつも、いろいろな場所でお茶をご一緒するお客様をお迎えした会でしたが、やっぱり、どの場所とも違う出会いとなりました。
ご愛飲くださっているお茶を、改めて、neccoさんの選んだ器で淹れ、茶碗で召し上がっていただき、いつもと違う味わいや感覚を楽しんでくださいました。
そして、お茶を囲んで、普段話さないような、お互いの根幹にかかわる話にまで、降りて行きました。
まさに、「根っこ」の話、でした。
ほかにも昨日は、偶然に出会ったお客様やわざわざ訪ねてくださったお客様との数年ぶりの再会や、初めてのお客様との出会いもありました。
そんな時間が過ごせたのは、neccoさん~空間、選ばれたもの、そしてオーナー夫妻のお心・・・~に包まれた安心感のおかげだと思います。一日中、滞在して、つくづくそう思っています。
お客様、neccoさん、ありがとうございました。
*おしながき
千年古茶青プーアール散茶 碗にて
雲南黒プーアール小沱茶 大茶壷にて
お茶請けに、有機生カシューナッツと有機レーズンを添えて
by xiaoxiangtea
| 2011-11-21 19:00